infection院内感染対策
b.プロービング・ルートプレーニング時の口腔内消毒
ポケット内消毒


歯科治療前の抗菌薬による口腔洗浄を行なうことで、
- 患者から放出されるエアロゾルや飛沫中の微生物数を減少させることができる
- 観血的歯科治療の際に患者の血流に侵入する細菌数を減らすことができる
ということはすでに述べてきました。しかし、私たちが一番用心しているのは歯周ポケット内の消毒です。歯周ポケット内には無数の細菌が存在しバイオフィルムを形成していることは広く知られています。
村井歯科では7年程前から以下のポケット内処置の前には必ずポケット内の洗浄・消毒を行ないます。
- 歯周組織検査前(基本検査、精密検査)
- スケーリング前
- ルートプレーニング前後
- 歯周外科前
使用器具
バリオス、ピエゾンマスターの外部注水容器に薬液を入れ、バリオスはPモード、ピエゾンマスターはイリゲーションモードで使用しています。
両者ともプローブとほぼ同じ太さのイリゲーションチップをもっているのでそれを使用している。
ポケット内の細菌、プラークを洗い流す感覚でポケット内全体を消毒していきます。口腔内清掃状態の良い方でもポケット内から驚く程プラークが出てくることもあり,必要性を強く感じます。
使用薬剤
使用する薬剤1)が第一選択、ヨードが使用できない患者さんには2)を使用する)
- 0.5%ポピドンヨード液(10%イソジン液を注射用水で20倍希釈)
- 0.1%塩化ベンゼトニウム液(0.2%ネオステリングリーン液を注射用水で20倍希釈)
注射用水

ポピドンヨードの使用時の注意の中に深い創傷に使用する場合の希釈液としては生理食塩液か注射用水を用い、水道水や精製水を用いない(日本医薬品集)。とあります。
村井歯科では希釈液として写真の注射用水を使用しています。
大塚蒸留水の添付書の記載
組成・性状
本剤は、1管中に注射用水(注射用蒸留水)が20ml、100ml、500ml、1000ml含有する。
効能・効果
注射剤の溶解希釈剤、注射剤の製剤。
用法・用量
本品の適当量をとり、注射剤の溶解、希釈に用いる。また、注射剤の製剤に用いる。
使用上の注意
開封後ただちに使用し、残液は決して使用しないこと。
注射筒での歯周ポケット洗浄・消毒


外部注水機能をもつ超音波スケラーをもっていない歯科医院では以下の方法でも可能だと考えています。
この方法はポケット内洗浄・消毒に取り組み始めた当初に村井歯科で行なわれていたものです。
注射筒:エムエス歯科用水銃注射筒(2cc用)
注射針:五十嵐医科工業の球后針
この注射筒と注射針はロック式になっており、加圧時に注射針が抜け落ちないように工夫されています。オートクレーブ滅菌が可能です。
滅菌済みのシャーレを2つ用意し一方に0.5%ポピドンヨード液、もう一方のシャーレに生理食塩水を取り分けポケット内の消毒と洗浄を行なっていました。