infection院内感染対策

21医療廃棄物の取扱い

廃棄物の分類

現在医療廃棄物の取り扱いは、平成24年5月に環境省大臣官房の廃棄物・リサイクル対策部から出された「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」で規定されているようです。

それによると左図上の図のようになっており性状で産業廃棄物と一般廃棄物とに分けられ、医療廃棄物に特徴的な感染性を有するものをそれぞれ特別管理廃棄物として分別するように決められています。

医療機関から発生する廃棄物

具体的にどのようなものが産業廃棄物でどのようなものは一般廃棄物になるのかを見たものが左図上の図です。歯科医院で見られるものに赤のアンダーラインを入れてみました。

マニュアルでは「感染性廃棄物とは、医療関係機関等から生じ、人が感染し、若しくは感染する恐れのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらの恐れのある廃棄物をいう」となっています。

産業廃棄物、一般廃棄物ともそれぞれ感染性のものがあり、合計4種類の分別処理が求められることになります。

歯科医院での廃棄物分別例

この図は村井歯科で実際に行われている廃棄物の区分の内容を具体的に示したものです。

感染性廃棄物としてはグローブと血液付着のガーゼ等は一纏めにしています。そして使用済みの注射針、カートリッジ、メス刃、キュレット、ファイル、バー等の鋭利な器具類はそれとは別に黄色のバイオハザードマークのプラスチック容器に保管しています。

通常の産業廃棄物はプラスチック類、薬瓶、金属クズは一纏めにし、現像液、定着液、フイルム鉛はそれぞれ個別の容器で、印象材、石膏模型は一纏めにして管理・廃棄します。廃棄先はすべて産廃業者にお願いしています。

ペーパータオル、エプロン、紙コップ等は一纏めにして行政ゴミとして廃棄しています。

廃棄物処理の実際

キャビネットの廃棄口

医療廃棄物処理の実際を見ていただきます。チェアーユニットに付属しているキャビネットには図のように2つの廃棄口が用意されており。一つが非感染性の一般廃棄物の処理口でもう一方が感染性の一般廃棄物の処理口になっています。中はそれぞれ別のビニール袋になっており、このまま分別することなく廃棄できるようになっています。しかし、廃棄口がもうけられているキャビネット上は診療補助の作業場でもあります。廃棄口を汚物で汚さない為に、いろいろ工夫をしなければなりません。

廃棄口周りの清潔にも少し工夫しています。通常の診療時は左上の写真のような状態でおこなっています。しかし、処置内容が多かったり複雑だと器具類の数が多くなり、知らぬ間に廃棄口の上に直接器具類が置かれていることもあります。器具類が滅菌バッグに入っているとはいえ気持ちのいいものではありません。また置かれているものの中には印象材や合着材など滅菌できないものもあります。

そのような時は、廃棄口にペーパータオルを敷き(中央)、ステンレスでできたカバー(右下:ヒンジで可動する)を被せて作業エリアを拡大して診療にあたるようにしているのです。

感染性廃棄物処理時の工夫

感染性の一般廃棄物処理にあたって図の様な対策を取っています。出血を伴った処置が終わった後、患者さん単位で汚物入れ紙コップの中に血液の付着したものをまとめ、紙コップを小さくたたみ廃棄するのです。ばらばらに廃棄することによってキャビネットの廃棄口等を汚染させてしまうのを防ぐためです。

同じ理由から次の様なこともよく行われます。処置が終わった後トレー上にのっている、血液付着ガーゼ等をグローブでにぎり、グローブで包み込むようにグローブを外します。次に、反対側の右手グローブで左手の廃棄グローブをつかみ、右側のグローブを裏返して包み込み、一纏めにして感染性廃棄物として廃棄します。

廃棄物分別の実際

血液の付着等のないペーパータオル、紙コップ、ペーパーエプロン等は燃えるゴミとして行政ゴミとして廃棄(行政が受け入れてくれるゴミは地域によって若干差があるようです)。感染性の廃棄物は産廃業者に委託廃棄します。


後は、図を見ていただくだけで、あえて説明は要らないと思います。