infection院内感染対策

a.口腔内消毒薬

日本医薬品集で粘膜に適応のある主な消毒薬には、

  • 次亜塩素酸ナトリウム
  • ポピドンヨード
  • 塩化ベンゼトニウム
  • 塩化ベンザルコニウム
  • 両性界面活性剤

などがありますが、口腔内への適応が示されているのはポピドンヨードと塩化ベンゼトニウムの2種類だけのようです。
消毒用エタノールは刺激作用があるため損傷皮膚と粘膜には使用禁忌になっています。又クロールへキシジンの口腔の粘膜面への使用はショック症状(初期症状:悪心、不快感、胸内苦悶、呼吸困難、発赤等)が報告されているため使用禁忌になっています。

ポピドンヨード

含嗽用としてガーグルの名称で16社(ポピドンヨード7%含有、30ml容器)ほどから発売されています。
実際の使用にあたっては、ガーグルは容器が小さく使用しづらい難点があり、私たちの治療室ではイソジン液の無菌製剤(ポピドンヨード10%含有、250ml容器)を使用しています。

塩化ベンゼトニウム

歯科用としてネオステリングリーン(塩化ベンゼトニウム0.2%含有、40ml、56ml、60ml、340ml容器)で発売されています。

消毒薬の使用濃度

イソジン液(ポピドンヨード)

手指、皮膚、手術部位粘膜の消毒には7.5⁓10%容液が使用されますが、口腔内には10%イソジン液を注射用水で20倍希釈(0.5%容液)して使用しています。
使用禁忌:本剤またはヨウ素に対して過敏症の既往歴のある患者
慎重投与:甲状腺機能に異常のある患者

とあるため、問診にてよく確認してから患者さんに使用するようにしています。

ネオステリングリーン(塩化ベンゼトニウム)
0.2%ネオステリングリーン液を注射用水で20倍希釈(0.01%容液)して使用しています。
重要な基本的注意:過敏症状が現れた場合は投与を中止する。使用禁忌の記載はありません。第一選択はポピドンヨードで塩化ベンゼトニウムはポピドンヨードが使用できない患者さんに対して使用しています。

希釈時の注意事項

  • 希釈濃度を正確に守る
  • 希釈には注射用蒸留水か滅菌精製水を使用する(水道水や精製水を使用しない)
  • 用時希釈(使用時その都度希釈)か数日で使い切る量にする
  • 希釈に使用する容器は滅菌したものを使用する

希釈の実際

ポピドンヨード:注射用水1000mlに10%イソジン液を52ml加える
塩化ベンゼトニウム:注射用水95mlにネオステリングリーンを5ml加える

希釈された状態で長期間保存されると薬液濃度が低いため薬液そのものが汚染されてしまう可能性があることから注意が必要です
現在、村井歯科では1日に0.5%ポピドンヨード液1000mlが2本近く必要になっています。